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![]() そんな中。相方が働いていた会社の事務所に飾ってあった天文写真は、「うわぁー」と思わず声をあげるほど、美しかった。その写真は牛山さんという日本人フォトグラファーの写真だった。その写真を見ていると、「この写真、スキ」と、心がビンビン感じちゃう。事務所にはF君の天文写真とともに並べられていたが、どれがその人の写真かはすぐわかる。「どの写真もきれいねー」などと言う観光客の傍らで、「全然違うじゃねーか!」と腹立たしい思いをしたこともあった。 その牛山さんの写真展が山梨であるというので、昨日、相方と一緒に見に行くことにした。が、関東地方にお住まいの方ならおわかりのように、あいにく雷雨で最悪の天候だった。それでなくても、わたしが1時間も寝過ごし、閉館の4時まであまり時間がないというのに、雷雨のせいで、電車が来ない。「最悪やなぁ」とぼやきまで出てくる。写真展が開かれている最寄り駅に到着したのは閉館30分前。タクシーを飛ばして急ぐ。バタバタと展示場の中に入ると、優しい雰囲気の女館長さんが出迎えてくれた。 館内いっぱいに飾られた牛山さんのすばらしい写真。ニュージーランドの思い出とともに、ダブルの感動がこみあげる。「やっぱり、きれい、牛山さんの写真」。感嘆の声をあげる、相方とわたし。展示場の奥にはさらに別の展示場があって、その途中にカフェがある。そこに、館長さんと男性が一人、談笑していた。お友達だろうかと横を黙って通り過ぎる。 さて、30分はあっという間に経った。ふと、壁に貼ってある写真家のプロフィールを見る。写真家の顔写真も貼ってあった。「あれ?カフェにいた男の人にそっくり…」。相方に言うと、たしかに、似ていると相方も言う。遠くから、カフェにいる男性をまじまじと見た。「ワォ、あの人、牛山さん本人じゃん!!」と興奮するわたし。相方に、「話しかけに行きーや!」と迫る。しかし、相方は「いいわ。帰るわ」と腰がひけている。そこに、タイミングよく館長さんがやってきた。おもわず、「あのカフェにいる方、牛山さんですか?」と尋ねると、「ええ、そうです。お話していきます?」とおもいがけないお言葉。牛山さんもカフェからこちらにやって来た。「いやぁ、わたしも、実はお二人のことを気になっていたんですよ。ニュージーランドのこともよくご存知のようだし。写真の見方もただものではないな、と」。 それから、1時間、館長さんのはからいで、カフェでお話することになった。それまで、わたしは牛山さん個人のことをまったく知らなかった。牛山さんのことを、初老のおじいちゃんと勝手に思い込んでいた。ほんとは40代なのに。そんな、まったく予備知識のない状態で、牛山さんの写真への想いを聞き、ただただ驚いた。わたしが彼の写真を通じて感じていたことを、彼がそのまま話してくれたからである。「だから、わたしは彼の写真が好きなのか」と合点がいった。 万人がすばらしいと思う芸術なんてないと思う。学生時代、ヨーロッパの美術館めぐりが趣味だったが、モネやルノアールの絵を見ても、わたしには何も伝わってこなかった。本物を見た!という感動だけ。しかし、エドワード・ホッパーの絵は、絵の前からしばらく動けなくなるほど、心がビリビリと共鳴していた。もし、エドワード・ホッパーが生きていて、お話する機会があったとしたら、「そうそうそうですよね、ホッパーさん」と話が弾んだかもしれないぐらい。 テクニックで撮れる写真なんて腐るほどある。自分の感性や人となりを表現できる写真こそが、人に感動を与えられる。牛山さんの写真を見てそう思う。 帰り際、館長さんから手作りのあんパンとチョコレート、牛山さんからは絵葉書をもらい、そのうえ、駅まで牛山さんに送っていただいた。今月末に、牛山さんの写真ライブを見に行く。不思議な縁だが、これから、長いおつき合いになるのではないかと思う。すごい写真家の方と、こんなに接近できて、嬉しくありがたい。 by aaaa_ii | 2006-08-14 01:05 | よもやま話
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